心の旅人 第1章 季節の始まり 1999年春 A.T.Fo.Evertail著 (並丁版)

 

風のにおいも心地よく、
はて、はなの咲く季節。
 
すれ違うおばあさんの、
いい写真が撮れますねえ
というあいさつに
ちょっと、心うれしくて
 
彼女の後ろ姿、
心のシャッターをおす。

列車での旅も、また、旅。

窓ガラスに映る桜と、
紅白幕と、
 
浮遊している心のぼくが、
うつりこまないように、
 
静かにここを立ち去ろう。

 

 

旅の形は、いろいろ。
 
菜の花の列車の、
旅も旅。

やがてぼくは、
 
海に着く。
 
初夏の、

広がる海は、
果てしなく見えるもので
その先にあるのは、
はたして。。。

ぼくなのか?

 

気が付くと、夕暮れ、

きみは、彼等の歌がみえないって
いってたね。きこえないって、
いってた。ほら、ちゃんと。

ほたるの合唱、きらめいて

やがてのびるひかりのおびに

誘われるまま、
また心の旅が、はじまる。

第1章 季節の始まり 終わり 

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